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2021/12/01Product

トーストの世界を豊かにする「グラファイトポップアップトースター」

「極上のトースト」を世界へ届けるためのポップアップトースター

「パンを焼くことに全力でこだわったトースター」

短時間かつ高温で一気に焼き上げることで、外はカリっと、中は水分が残ってモチモチ。パンの内部までしっかり熱が入って小麦の甘味も引き出す仕上がり。千石の特許技術「遠赤グラファイトヒーター」の搭載によって、わずか0.2秒で瞬時に発熱し、庫内温度も一般的なトースターより高くできるアラジンのトースターは、「忙しい朝にこそ、極上のトーストを。」というコンセプトで日常に新たなおいしさを届けるために生まれました。

そんなアラジン独自のおいしいトーストを、もっと世界のみなさんにも食べてほしいという想いから、私たちの新たな挑戦が始まりました。これまで展開してきたトースターはパンを寝かせて置いて焼くオーブン型でしたが、世界ではパンを縦に置いてレバーを引き下げて焼くポップアップ型が主流。しかしポップアップ型になると、オーブン型のような多様な調理への活用はできなくなる。ならば「パンしか焼けない」のではなく、「パンを焼くことに全力でこだわったトースター」として魅力を感じていただける製品をつくろう。こうして、アラジン初のスタイルであるポップアップトースターは、これまで以上の「トースト機能」への追求が大きなテーマとなったのでした。

理想のトースターは、特許技術×オンリーワンの工夫と調整で生まれる

技術は「つくるものにあわせて進化」させてこそ、次の価値創造へと広がる

最大の試練となったのは、ポップアップ型ならではの「パンとヒーターの距離の近さ」でした。ポップアップ型は本体が薄いため、パンの至近距離にヒーターを設置しなければなりません。そこに対応するため火力の弱いヒーターを使うのが一般的なのですが、私たちが世界中にお届けしたい「極上のトースト」には、0.2秒発熱かつ高温の遠赤グラファイトヒーターが必要不可欠。この難題を解決するために、高温をムラなく分散する方法を追求することにしたのです。

そして試行錯誤の末たどりついたのが、表側の中央に遠赤グラファイトヒーターを1本、裏側の上下に石英管ヒーターを2本配置し、3本のヒーターで焼き分ける方法でした。当初想定していた表と裏の中央にグラファイトヒーター1本ずつの計2本では上下の耳の部分まで焼くことができなかったため、2種のヒーターを掛け合わせた3本の配置でタテ方向の焼きムラに対応しました。

また、ワイド方向にも焼きムラが出ないよう、グラファイトヒーターには今回のポップアップトースターにあわせたグラデーション設計により、熱の出方を調整。パンに一番近く、熱が集中しやすい中央部分の温度を最も弱くし、熱が集まりにくい両端に向かって温度が強くなるように、3段階の温度分けを施しました。同様に石英管ヒーターも、中央部分は赤熱させないようにひと工夫を。さらに、グラファイトヒーターの熱が庫内にしっかりと行きわたるように設置している反射板に穴をあけて適度に熱を逃がすことで、ヒーターだけではできない絶妙な火力調整もするなど、焼き上がりが均一になるように様々なチューニングを行いました。持っている技術は、つくるものにあわせて進化させ続けてこそ次の価値創造へと広がる。それを体現した開発となりました。

どちらかを諦めるのではなく、両立する方法を追求する

おいしいトーストを味覚だけでなく、焼く時間ごと五感でたっぷり味わっていただきたいという想いから、透明のガラス窓を本体前面のデザインに採り入れました。グラファイトヒーターの温かみのある光の中で、パンの表面がこんがりと焼き上がっていく様子を楽しむことができ、香りや音とともに至福のひとときにつつまれる。アラジンのポップアップトースターだからこその特別なトーストタイムを提供するために採用したデザインなのですが、これがまた別の大きな課題を生んでしまいました。

朝の忙しい時間にもサクサクと朝食の準備ができるように、どうしてもこだわりたかった「連続焼き」。連続してトーストすると、すでに庫内が温まっていることで焦げたり焼きムラが出やすくなるので、「温度検知センサー」の内蔵と「マイコン制御」で焼き時間を自動調整して同じ焼き色を維持する機能の搭載は絶対に外すことができません。しかし、ポップアップ型ゆえに庫内が狭いだけでなく、ガラス張りのデザインということもあり、センサーを外から見えないように収容するのは至難の業。それに加えて、上部が解放されている構造では温度検知そのものも難しい。各部の温度上昇を測定しながらプログラム制御のテストを繰り返し、センサーの姿を隠しながらも温度検知がしやすい位置を見つけ出すのにはかなり苦労しました。どちらかを諦めれば解決することもありますが、どうしても譲れないものは、たとえ困難であっても実現するための追求をする。それが新しい価値を生むための扉だと思うのです。

トーストだけにフォーカスした機種だからこそ、トーストの楽しみ方も幅広く充実させたい

選べるモードと焼き加減で、自分だけの極上のトーストを

その日の気分やそれぞれのお好みにあわせて、いろいろなパンで、いろいろな焼き加減を楽しめるよう、4つのモードを搭載しました。メインの「トーストモード」は、8枚切りの薄切りから4枚切りの厚切りトースト、山型トーストにも対応。その他に、冷凍保存したパンでも熱々に焼き上げる「冷凍トーストモード」、ベーグルやマフィンなど上下二つに切ったパンを片面ずつ焼くことができる「ベーグルモード」、一度焼いたパンを焦がさずに温め直せる「あたためモード」があり、3本のヒーターを使い分けることによって、様々なパンの厚み・サイズ・食べ方をこれ1台で最適に焼き分けられるようにしました。また、焼き加減も、「1」~「7」まである焼き色調節つまみを使って、ほんのり焼き色からこんがりきつね色まで、自分好みの焼き上がりに設定が可能です。自分だけの極上のトーストをつくるワクワク感や、日常の中に新しいおいしさが増えていくサプライズ感も体験していただけるトースターを目指しました。

生地から手作りしてでも、実現したかった「ベーグルモード」

「ベーグルモード」の開発には思わぬ落とし穴がありました。弊社がある兵庫県加西市は都心から離れた山間の街なので、焼き色調整のテストをするために必要な肝心のベーグルがなかなか手に入らなかったのです。初めは食パンを使って大まかに調整し、最後の微調整を実際にベーグルで検証しようという段階でのまさかの展開…。手に入らないのなら自分で作るしかない!と決意し、検証のたびに生地からこねて、茹でて、焼いて、もうすっかりベーグル職人に。最終的には大きなスーパーで見つけて買ってくることができるようになったのですが、自分で生地から作ったベーグルを使っての焼き色調整は思い入れもひとしお。あたたかな焼き色に手作りのやさしさのようなものを感じていただけたら嬉しいです。

海外展開への高いハードルを超えて、世界中へ

世界各地の製品を集めて、研究を重ねる

世界中の食卓で、アラジンの「極上のトースト」を楽しんでいただきたい。そのための新製品開発は、約1年半にわたりました。新たな製品をつくるにあたり、まず最初のステップとして他社製品を購入して比較や検証を行うことが欠かせません。海外市場への展開を重視するのであれば、実際に海外で流通している製品も知る必要があります。しかしながら、海外のポップアップトースターはネット通販で購入できず、アメリカやヨーロッパなど現地にいる知人に買って送ってもらったりしながら、世界各地の製品を買い集め、研究を重ねました。ただ、研究しようにも、電化製品は国によって電圧もプラグの形もバラバラなので、こうしたところにも手を焼きました。

国際規格のハイレベルの安全性に対応

どの製品においても、完成した後は発売までに第三者機関で安全性を確認する認証を受けなければなりません。国内向けの販売であれば通常通り日本の「電気用品安全法」に準じた開発で良いのですが、今回のポップアップトースターは海外展開を予定しているため、「IEC規格(International Electrotechnical Commission/国際電気標準会議)」という国際認証にも合格する必要があり、国際基準のよりレベルの高い安全性が求められました。それに対応するため、こだわりのガラス窓はIEC規格に準じて二重ガラス仕様に。また、各部の温度上昇を測定して製品に危険な発熱がないかを評価する平常温度上昇試験においては、日本では疑似パンを使って試験するのですが、国際規格では本物のパンを焼いて実証しなければならず、測定位置も日本の規格より多くなっています。理想の機能やデザインを盛り込みながら、日本国内の規格はもちろん国際規格にも対応するため、全体を通してとてもハードルの高い開発となりました。

おいしさ、楽しさ、快適さ安全性にとことんこだわって

日本国内だけでも、海外のある一国だけでもなく、広く世界で使っていただけるトースターを目指して、本当にいろいろな困難がありました。でもそれはすべて、アラジンのグラファイトポップアップトースターだからこそのおいしいトーストを世界中で楽しんでいただけるようにするため。こうしてお客さまと、アラジンの「新しいおいしさのカタチ」をシェアできることをとても幸せに思います。それぞれのライフスタイルにあわせて、いろいろなパンで、トーストモードも焼き加減も選べる楽しさ。そのトーストタイムをもっと楽しんでいただけるよう、この製品には他にもこだわりが詰まっています。前面のガラス窓部分とトースター下部のパンくずトレイは簡単に取り外しできるので、パンくずの飛び散りや油汚れもお手入れしやすくなっています。使わない時には、付属のほこりよけカバーで上部にフタを。庫内を清潔に保つのも、できるだけラクなのが嬉しいポイントです。それから、食パンよりもサイズの小さいベーグルの取り出しがしやすいように、専用のトングもセットに。トーストのおいしさ、楽しさ、快適さ、安全性にとことんこだわったアラジンのグラファイトポップアップトースターで、世界中のみなさまに新しい価値をお届けできることを願っています。

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